ある、お客さんちに配達して
真っ先に玄関から出てくるのが
とても大きな犬でした。
ぼくの顔を、みながら優しい顔で
なでられるままにしています。
忙しく走り回るなかで
とても穏やかにすごす一瞬。
でもきょうはなにかいいたそうに。
何だろうと思っていたのですが、
いきなり配達した大根の葉をがぶっ。
な、なんだ？
大好物なんだそうです。
大根の葉。えっ。
耳を疑いました。
冗談かと思った。
「スーパーの野菜には見向きもしないのに
TAROさんが配達した、野菜が大好きで
もう冷蔵庫の野菜室を開ける音で寝てても
いきおいよく台所まで走ってくるんです」と。
(でももったいないからダメと言ってあげない。)
ほんとですか？
じゃあ、と言って
で車の中に散らばっていた
大根の葉くずをやりました。
ソーセージを食べるみたいにむしゃむしゃ
おいしそうに
変な感じ。
で次に配達のとき
切って棄てるだけの葉っぱを
これどうかなと、思いつつ
もっていきました。
片手で上に持っていたのに
飛び上がってきて
がぶっ。
むしゃむしゃ。
ちょっと怖かった。
そのうち、
ううーっと獣のように
本能の赴くまま
狂ったみたいに
食べまくってました。
信じられない…
大根の葉を食べたくて、獣になる
血統書つきの飼い犬…。
下に落ちた葉っぱも残らず。
お客さん、恥ずかしい…
とおっしゃいますが、
恥ずかしいより、信じられない…
一度、欲しがるので
食べさせたら
もう言うことを聞かなくなった。
ふだんは穏やかないい子なのに
もうこんなに恥ずかしいほど、
taroさんの大根の葉を見せると
言うこと聞かなくなる。
犬には無農薬野菜の生命力がわかるのかもしれません。
ふだんはドックフードばかりだと言うので、命が欲しいのかも。
taroさん、
すいません、大根の葉、くださいな。
棄てるとこでいいから、くださいな。
いつも、穏やかな犬より。
