TAROやおや’s blog

仙台で無農薬の野菜をセットにして配達しているやおやです。

畑の思いを抱えて、街を耕す

青森に無農薬リンゴ農家さんを訪ねて

1sdim1061 ありがとうございました。
 

お会いしたときすぐに目に付いたのは
日焼けをした笑顔のお顔と、
軽トラックのダッシュボードを飾っていた
成人式の女性の写真。
 

お会いした時間を何にたとえましょうか。
とても素敵な時間でした。
仏さまのように神々しい
オーラが見えました。
 

以下ただ、羅列させてください。
 

1or043661 「ただ、農薬や肥料をまきたくないんです。
独学で無農薬を始めて10年。
それ以前は農薬はやってたものの、肥料を
やるのをやめていました。
それでもまあ出来たんです。
 

だから農薬を使わなくても
出来るんじゃないかと甘く考えていました。
でもとんでもなかった。
いまも、まだ食べていけなくて週に5日間
日雇いに出ています。」
 

1or043676 「大変だったんです。
五年目までほんとうに毎年毎年木が枯れていき
そこから
いま十年目。ここまでやったからといっかいの農薬もまかずに
踏ん張って。」 

そのあたりになるとやがて、涙目になっていき
しだいに目が赤く。
 

「今年もリンゴがなるか
わからないんです。
実はつけているけれど
病気になったり、虫がついたり。」
 

1or043674 「無農薬、無肥料で始めた当時は
みみずたくさんいました。
大きなミミズがいるということは、まだ余分な肥料が
多くあって、微生物が少ないということなんです。
やがてミミズが小さくなり、ほとんど見なくなりました。
けれど、土がふかふかになりました。」
 

1or043671 「選定した果実や枝もそのまま放置しておくと
一年できれいになくなってしまうんです。
土のなかの微生物が分解して、
リンゴの木の栄養にまた戻してくれるんです。」

「土です。
すべて。」
 

「取るりんごなんて
木がいきる全体からみると
タイシタものではないし上の部分ではなく
下も含めて全体でまわっているんです。」
 

1or043666 「どうしてこんなに生活も出来ず
辛いのに続けようかと思ったかと言うと
ある人が来て、ここはいい気がある
木が喜んでいるといわれたからなんです。
枯れそうになっている木でも、喜んでくれているなら
続けようかと。」
 

「目的は無農薬のリンゴを作ることではないんです。
ただ、自分がこにいて心地いいから
この場所を維持したいんです。
この場所にいたい。」
 

1or043663 「無農薬をはじめたのは、
生まれたばかりの娘のためにでした。 
お米を無農薬で作りたくて肥料をやらないお米作りを
はじめたんです。

で、りんごにも。
無農薬が先ではなく
無肥料がさきで、
肥料をやらなくてもなにも変わらず
りんごができて
肥料がなくてもできるんじゃないかと。」
 

1or043652 「それで、農薬も無くしたんです。
肥料や農薬をかう お金がない…というより
よくないものにお金だすのが勿体無くて。
やらなくても、ある程度りんごはなったから。

でも毎年どんどん枯れて
五年目にはまったく取れなくなってしまいました。

弱っていくのを、がまんするのは辛かった。
やれば何とかなるかもしれないけれど
ここまで辛抱したんだから、もう少しと、先が見えず
ほんとに辛かった。」
 

「長い目で。
一年に一度なので
なんども何年も辛い思いをしてきました。」
 

「一番苦しかったのは
理解されないこと。
家族と、周囲の農家に。」
 

「いまは家族がいちばんの理解者だけど
わかってくれない人に対しても、それでいいんだと、考えると楽になる。
わかってくれるひとはいる。
はなれていても、きっといるし
いずれそのひととは出会うんです。」
 

「虫より病気はなんともならない。
土がすべて。」
 

「虫はなんとかるんです
自然のなかで、たとえば
カイガラムシがなぜか突然大量発生すると
それに合わせたかのように
そのカイガラムシを捕食する
天敵の二つ星てんとむしがこれも大発生して
食べてしまうんです。
でも互いに全部いなくはならない。
すごくうまいバランスでできているんです。」
 

「すべていらないものってないんです。」
 

「枯れ木も、だからそのままにしている。
処分してしまうと、そこにくるべきものが
健康な木の方に行ってしまう木がしてならない」
 

「近所から虫の発生源になっていると
苦情も多くいわれる。
それで、酢を農薬まく機械でかけてて
カムフラージュというか、
一応「薬」やってますよと、でも
効果があるのかどうかわからないけど
やってもやらなくてもいっしょなら
今はまだやっておこうかと。」
 

いまでは、家族が一番理解してくれていると
語るとてもいい表情。
 

圃場もいい気がながれている
本当にここちいい場所
 

帰りにそのはたけをでると
なんだか、急に下界に下りてきたかのような
妙に雑念とした、なにか殺伐としたものを感じてしまった。
 

なんども振り返って
今いた場所を、確かめた。
なんだか柔らかな空気のかたまりがそこにあったんです。
本当に素敵な場所。
 

ここにいけてよかった。
 

しばらくぼくの心の帰る場所になりそうです。
 

悩んだり、辛いときには、農薬を踏みとどまった気持ちを思いながら。
 

蝶がまい、すずめが降り立ち、ねずみの穴、
虫が飛び、あたたかな日差しの中で
手で掘れるほどいいい香りのふかふかの土
の上で、ただ座っていたかった。
 

自分のしていることに
うそがないというのは、
年齢をかさねてわかるもの。
 

あきらめくるしみ
その末に
あるもの。
 

なにもできない
見ているしかない
手助けしかない
 

みなが集まる果樹園
 

しあわせに生きるりんごの
木の元に
すずめ、蝶、ねずみ
みなしあわせそうに
集まる。
いらないものは何一つない。
 

すべてを排除して
殺菌し
殺伐としているのはとなりの圃場。
隣り合わせの世界。
 

リンゴ出せるかどうかわからないですよ。
別れ際、9月ころまた連絡しますと
伝えたときのお返事。
 

そう、いわれたけれど
そんなにいいものばかりは求めない。
はじめての取引。一級品は
いままで支えてくださった方に届けてください。
ぼくは、見た目がよくなくてもいい。
傷があってもいい。
 

ただ、あなたが育てた木からなった物を
ぼくは見てみたい。
味わってみたい。
触れてみたい。
 

売ってみたい。
売りたい。
伝えたい。
 

あなたの思い。
あの圃場の豊かさ。
本当の楽園や幸せの意味。
そこにすべてがあった。
かなしみもゆたかさも。
 
最後に蛇足をふたつ。このかたは木村さんではありません。お名前をだしていいかわからないので出しませんが。それと、無農薬というのは農薬をいっかいも使用していないという意味で、ぼくはつかっていますが、店で売られている「無農薬りんご」のなかには、有機JASでいう無農薬というジャンルで話をしている人がたまにいます。それは認可された農薬は使っていますので、まったく意味が違います。紛らわしいので低農薬といって欲しいですし、農薬一回の濃さをたかめれば、3回分を一回で済ますことが出来る場合もあるので、回数は意味がないことになります。(実際に店で無農薬を称していた方に電話して農薬の有無、種類、回数、濃度を生産者さんに確かめたことがあります。)

基本セット5品1000円 標準セット6品1200円 満足セット7品1400円 大盛セット10品1950円 特盛セット13品2500円 他、ご要望に応じて苦手なものは他の野菜に入れ替えたり、追加注文可能です。