雑貨が好きだったときがありました。
高校から大学のころ、迷いの時期、
雑貨かぼくに語りかけてくる言葉がありました。
それはよく聞ききとろうとしないと聞こえない
小さい声。
買って帰り、並べたそれらを眺めると
悪意のないいろんな個性にこころが豊かに彩られ、
ぼくはそれらの個性に 囲まれて
感じていた世界がとても しあわせだった。
だけど ある時期からそれらの声が
きこえなくなったことを大人のぼくは知っていました。
で、いつしか雑貨から離れていたのですが
昨日、かって知った山のなかの古本屋に行ったとき
店の片隅が雑貨やさんになっていたので
ながめるでもなく、なにがあるのか
なんとなく店の中をうろうろしていたら
出口で、とあるうさぎの置物にひきつけられました。
だいじにしたいなにかを感じ、
ほんとうに久しぶりに雑貨をレジにもって行き
包んでもらいながら、昔、雑貨の声が聞こえていたことを
懐かしく思いだしていました。