お留守の家、玄関先に用意してくださった箱に
はくさいを入れる。
白菜になれなかった、はくさいを
入れる。
はくさいは、白菜になりたかったわけではなくて
ただ、こうして地面の上でのんびり
葉っぱを広げていたかった。
おひさまを感じ、寒さに耐えながら
内側に養分をたくさんためて。
さあ、暖かくなってきた。
花を咲かすよ。
つぼみがその内側に
眠っている、その、いまがいちはぎん
野菜としてはおいしい。
みためはよくないし
流通には乗らないかたちや、
大きさだけれど。
それをお届けできることは
最上の瞬間。
びっくりをお届けしたいやおや。
そんなびっくりを、風呂敷で包む。
その風呂敷は、障害を抱えた方が
生きる手段として、それぞれの立場で
分け合い、作られた風呂敷。
裁断する人、裁断するためのまえ段階に
布に目印のの線をひくひと、
色を組み合わせて縫う人、
ひもをつける人、タグをつけるひと。
それぞれの役割、それぞれの一生懸命。
そんな風呂敷で、包んで配達
あふれるばかりの勢いのはくさいを、
あふれさせながら配達することに
至上の喜びの時。
それぞれがみな、しあわせな形。
やさしく、布の中で、包まれ
キッチンでほどかれるときに
どうか彼らが喜びを持って、
迎えられますように。
ただその思いをとどける役割ができれば。