TAROやおや’s blog

仙台で無農薬の野菜をセットにして配達しているやおやです。

畑の思いを抱えて、街を耕す

野菜が主役



二週間前かな。


ラフランスをひとつ、なにも言わず
ほかの野菜と一緒に
風呂敷に包んで、
そのひとが何を思うか、わかってくれるかな
いやわからなくても意図を汲んでくれるかな
なにこれと言われるかな。
そんなこと思いながら
ちょっと覚悟しつつ、悪戯心。

 

小さな無農薬ラフランス一個手にとって


ぼくがその日持っていた言葉(もの)のなかで最上級の
ベルリン天使の歌のような爆弾。
ころんと。

果物は予防で農薬をもうほとんど数日おきにかけるので
一度病気になれば、虫が大量に中に入れば
全滅。一年の収穫が0、収入0ということになるので
ほんとに果実の無農薬というのは、ものすごい覚悟と
命を懸けるくらいの勇気が必要。

 

 

 

そして、そのラフランスを入れた、風呂敷をいつものように
渡して、聞かれなかったのでぼくからは、
なにも言わずに。

 

くるまに乗り込もうとして



そのお客さんが、閉めた玄関ドアをいきなりまた開けて、

 

【TAROさん、これっ。】
榴弾みたいに高く持ち上げて
【これっ無農薬ですか?】

 

「そうです。」
とかなんとか言ったかな。

 

【うわー、うれしい】と大事に喜んでいただいて。
まずは、伝わったことうれしくて。

 

後は味はどうだっていいんですよ。
おいしくても、おいしくなくても。
そのひとがどう感じるかで。
だからおいしいとは言いません。

 

加工品じゃないので、一個一個違うし…。
言えないというか。

 

そしてその後、感想を聞くこともなく
二週間後(かな)の今日。

 

またまた、最後のしわしわになった
小さなりんご爆弾を一個。

 

今日はちゃんと、おまけです。
と伝えて。
(でないと干し柿ショックをずっと引きずってたので
なんだ、こんなのとか思われるの、いやで)

 

【こないだ、りんご食べました。】
(あっセットに入れましたっけ)

 

「どうでした?」
(恐る恐る覚悟覚悟)。

 

【わたし、あまり考えず
無農薬とか、おいしいとか考えたくなくて
ただ、小鳥になったみたいに
木になっているものを食べている気持ちになって】


「うんうん」

 

【農薬をかけていないってことは小鳥も
自由に食べられるってことだし
自然の中にいて一体になっている
そんな気持ちになって食べたんです。】

 
 
 

【なんだか、そういうなかに身をおいていたくて。】

 

「あっ」

 


【だけど、わたし自然の環境の中にいないし
自然の何にも帰していないそんな私が食べていいのか
わたしのなかにいれていいのかここので
私の手元に無農薬のりんごがきたいろんなことを思い】



「そう、なかなかそういうなかに身をおきたいというものはないし
無農薬野菜を食べるっていう本質は自然の中の循環のなかに
一体になるということなんですよ。

おいしいとか、安全とか、いいものとか
そういうのとかと違う次元なんです。

自然が自分で命をはぐくむ
それをたべるってことはそういうものの中に
入るということ。

そういう感覚を広げることが大事で
そういうひとが広がればきっとなにか
変わっていきますよ。」

 

ぼくは、それはね
間にあるストーリーを話せることが
幸せで、目の前の相手が
野菜を介してきちんと受け取っていて
くださることがなによりもうれしくて。

 

この仕事初めて何年目なのかも
もうわかんなくなっちゃってたんですが

 

今日はとてもうれしくて。
きっと言葉を交わしていなくても、こういう方は
何人ももいらっしゃるのかもしれないと
思うともう、泣きそうにうれしいんです。



乾杯です。

 

ありがとう、みなさん。

 

よろしくね、と無口なぼくは
いつも野菜に代弁を頼んで
玄関先に置いて行っています。
ぼくなどより
野菜のほうがよくしゃべってくれますが
ぼくは野菜が誤解を受けないよう
料理方法で補佐役の関係です。

 
 
 
 

 
 

まだうれしくて飲んでたり…。
あした起きれるかな。

ちなみに、ぼくは、お風呂に入りながら
特に体温に近い温泉で
皮膚と、水温の間を感じながら
水に溶ける感覚、自分をお湯に溶けはなつ
浮遊する感覚が好きで
こういう感覚を空気に、大気に
自然に、人に感じられたら
素敵だろうといつもそう思っています。

 

自分のもつ感覚を、いい環境の中で
一体感として感じ、感覚を広げていくと
世界はいいもので満たされる。
そんな気がします。

 

 
 

長くなったけど、
マスコミから取材を受けたとき
なんでこの仕事を?ときかれ
うそがないと答えてましたが
ぴんとこないみたいでした。

 

 
 

こういう感覚はとても大事にしたいんです。
世界に解けはなたち、影を光に広げていく感覚。

基本セット5品1000円 標準セット6品1200円 満足セット7品1400円 大盛セット10品1950円 特盛セット13品2500円 他、ご要望に応じて苦手なものは他の野菜に入れ替えたり、追加注文可能です。