冬、寒い部屋に戻ったとき。
だれにもいない部屋に戻って
一番最初にするのは、震えながら
ただ、ストーブのスイッチをいれること。
できるなら、そのストーブは
ただ身体を温めるものだけの機能的なものではなく
つまり、スイッチというより火をいれるという作業、
火をいれて、暖かくなるまで
漂う木のくすぶる香り
部屋一面に漂う暖かくなる前に
寒い空気と暖かくなる前の
混じるぬくもりのような。
そんなものが暖かいということのような気がする。
食べるものも、また同じような経過。
キッチンに届いた材料のひとつを、それから
食べものになる、のではなく
その前にすでに命として
薪のように存在している
生まれ育った命を感じることが
大切なことだと思うんだ。
おいしいとか、いうことはたぶん受け手の
そこまでのはぐくまれた命の豊かさを感じる
表現、
おいしく作ろうとするこころの暖かさの
連鎖。
今のこと、瞬間に今と言うことをこえた、暖かいつながり
を
感じられるということがしあわせなこと。