TAROやおや’s blog

仙台で無農薬の野菜をセットにして配達しているやおやです。

畑の思いを抱えて、街を耕す

迷った森で

もうずいぶんと前のこと。
なぜ、ぼくがあそこを歩いていたのか
思い出せないのだけれど
土合駅をこえて次の駅、土樽
小さな山小屋みたいな駅でした。
そこから、雪の越後の山へと分け入り
歩いていた。


ところが関越自動車道がまだ施工工事中で、気持ちよく雪の積もった
高速道路をあるいていたらなんと登山道がわからなくなった。

 

なんてこったと、
山に入る前にこんなとこで迷うなんて。
と、地図とコンパスを頼りに
山のほうへ向かった。
どこでも歩き放題、道なんてなく、雪しかないのだから。
けれど、雪はどんどん深くなり、山は思うよりますます遠くなり
日は山の向こうに陰っていき
さて、困った、このままでは、時間がない。
とって、帰ることにしたぼくは、自分の足跡をたどりました。

 

それから、しばらく歩いていると、自分の足跡ではない、
なにかにまっすぐ向かっていく足跡を見つけました。
ん?
自分が迷ってここに至っただけにわたりに船というか
楽をしたいというか、いったいこんなところに誰?という興味が
沸いたような、ずいぶん昔のなので
たぶんそれら全部の感情のまま、足跡をたどります。
ひとが懐かしいような感覚でした。

 

一時間くらいたどっていたら、その足跡は一軒の家に向かっていました。
山中に一軒だけある家でした。
やけに都会的に見えたので、きっと道路が近くにあったのでしょう。

 
 

その家についたものの、迷っている状態には変わりないので
ノックをして、たずねました。
ここはどこですか。
初老の品のいいおじさんでした。
逆になんでここにとたずねられ
足跡をたどったと。

 

ここにひとがきたのは初めてだと言われ、
いろいろ話をしました。

 

食事をご馳走になり、ではと少し手伝いをすることになりました。
ちょうど除雪をしていたというので
ぼくはいわれるまま、家までの階段を切ることになりました。

 
 

2メーターくらい雪から下る階段。

 

もうすぐ暖かくなる、雪はどうせ溶ける。
適当に段になっていればいい
そうかんがえ、適当にざっくりと階段を。

 

おじいさん、すぐに出来上がったそれを見て
いいや、だめだこういうのこそきちんと
作らなくてはならないんだ。
無駄とわかっていても、そういうのが
大事なんだ。

 

おじいさんは作り直した。
いまの時期は深い森の中を自由に
歩ける時期なので、古い木の根を
そりで引っ張って、運び
磨いて並べるのを趣味にしているそう。

 

販売はせず、そういう木の命を磨いて
掘り起こしただ作りたいのだと。

 

忘れずにいるあの白い空間、あの言葉、あの森、あの磨かれた樹。

基本セット5品1000円 標準セット6品1200円 満足セット7品1400円 大盛セット10品1950円 特盛セット13品2500円 他、ご要望に応じて苦手なものは他の野菜に入れ替えたり、追加注文可能です。