TAROやおや’s blog

仙台で無農薬の野菜をセットにして配達しているやおやです。

畑の思いを抱えて、街を耕す

広角レンズ、望遠レンズ

Simg_0635_2 風景や、ものを見るとき、感じるときに
広く浅く全体をとらえる「広角レンズ」と
特定の視線で凝縮された「望遠レンズ」という
心理的視線があるように感じています。

 

遠くの一箇所を見つめる目。
望遠の圧縮効果で遠近感が曖昧になるけれど、。
主題をくっきりと切り取りやすいのが「望遠レンズ」

 

「広角レンズ」の場合は全体を広く見て
その中の現象に広く思いをやる視点。
前後の位置関係や距離感は強調されますが
広い範囲を取れるけれど主張がはっきりしないと、
平板になりがちで意外に難しいレンズ。
(私的には広角レンズが好き)

 


唱歌の作詞で有名な高野辰之。
国文学者なのですが、芸大音楽学部の教授もしていたそうです。
この人の詞がなんというか絵画的というか
カメラのレンズを持って風景を切り取ったような詞でとても好き。
一見、絵画的な表現を羅列しただけのようですが
写真的に観ると、それが見事にフレームの中に心象風景として
はまっていて特にこの歌詞が心に響くのです。

 

「おぼろ月夜」
1.菜の花ばたけに 入り日うすれ
見わたす山のは かすみ深し
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて においあわし

 

2.里わのほ影も 森の色も
田中の小道を たどる人も
かわずのなく音も 鐘の音も
さながらかすめる おぼろ月夜

 

一番は、見事に広角的視点。
菜の花畑に、日が沈んで、(黄色が重なる)
見渡す山の葉(緑)そんななかで春の風がさらさらと吹き
空を見ると月が薄くみえる。夕方の明るさ、風に漂う匂いに
平和な幸せを感じるという詞。

 

そして二番ですが二番の詞は不思議です。
広げたり限定したりで広角と望遠の視点が交じっています。
なんと「の」と「も」の…連続。
普通なら、○○も○○も××だ。
と並列して(広角)共通点を述べることに使うのが
「も」なんですが、望遠的視点の
「の」が「も」のように使われていて…、
広角的視点の「も」が「の」のように。

 

分解してみます
♪里わの ほ影も
夕方の田んぼの穂を照らす民家の明かりの長い影がみえます。(望遠)

 

♪森の色も
やがて夜の暗闇に沈んでいく森の深い色。(広角)

 

♪田中の小道を たどる人も (広角)(望遠)
近道なのか、田んぼの中のあぜ道を暗くなりかけたので
不安げに足元に気をつけながら
急ぐ人の姿。だんだんと全体が見えてきます。

 

♪かわずのなく音(ね)も
カエルが鳴き始める。(望遠)あたり一面に響く。
夕方のこの時間を待っていたかのように。
切り取った風景に音という命が満ち溢れています。(広角)

 

♪鐘の音(おと)も
俳句に通じる世界。昼に終わりを告げる「終止符」。
賑やかな夜のざわめきに対して響く鐘の「おと」は
再び精神世界のような暗い夜が「戻ってきた」
音への集中は(望遠)受け取る世界としては(広角)
帰宅、命、終止符、開始、拡がって広がって、どこまで広がるかこの暗闇…
と言う中で次の言葉、

 

♪さながらかすめるおぼろ月夜
(すべてを霞の世界に包んでしまうおぼろ月夜)
どーんと、ここで世界がひっくり返る。超広角魚眼レンズの視線です。
自分らをおぼろ月夜が見おろしているのではなく、この世の生ある、
それらの営み、すべてを霞の中に閉じ込めてしまう月。
大きな宇宙観に一気に包まれます。
自分が宇宙の中の一員になったようなミクロとマクロの同居。
これは超広角魚眼レンズと同時に心的には超望遠で月にスポット。 

 

長くなりました。
写真は、今日月曜日の七ヶ浜、星さんとこの田んぼ
いまは除塩のため菜の花畑。

 
 
 



 
基本セット5品1000円 標準セット6品1200円 満足セット7品1400円 大盛セット10品1950円 特盛セット13品2500円 他、ご要望に応じて苦手なものは他の野菜に入れ替えたり、追加注文可能です。