麹を毎週欲しいのだとおっしゃるひとりのお客さん。
はて？麹をなににするのですか？と
と尋ねたら、
甘酒が好きで毎日作るのだそう。
甘酒ですか、なるほど。
ないときは、お味噌屋さんから麹を買ってきて
作るんです。
でも、なにが違うのか わからないんだけど
TAROさんのがおいしいんです。
どこの麹ですか？
逆に尋ねられました。
無農薬のササニシキを、
米沢の麹屋さんに持ち込んで作ってもらっています。
おいしいですか、ありがとうございます、
なにが違うんですかね？
わからないけど、おいしい。
と繰り返します。
うれしいですね、
なんでかわからないけど、おいしいというのは
最高のほめことばだと思います。
無農薬無肥料だからとか、
ササニシキだからとか、
麹を何日もかけて、ていねいに作ったとか
秘伝の技だとか、
そういうのでおいしいと、おしつけることもなく
そういうことに意味を見出すのではなく、
同じように作って、でもなにか違う、おいしいのだと
言われたことは、うれしい言葉でした。
そういえば、くだんの米生産者さんも、なにか似たようなことを言っていました。
近所の農薬を使った米と、うちの無肥料の米と
食べてもそんなに違いが判らないのだけれど、甘酒をつくると
なんだか全然違うんですよ、不思議なことに。と。
「なんだか」、という言葉と「全然違う」という言葉は対比ではなくて
同列なのがおもしろい、
あいまいな中で人はそのなんだかわからないけどという
なにかの部分を大事にしたいものです。
麹の季節、ぼくもいろいろ作ったなあ。
レモンを麹と塩に漬けたり
唐辛子としょうゆと麹を混ぜたり、
楽しく遊べます。
