木桶の「溜り醤油」です。
この醤油は作り方に特徴がありまして、
ぼくもさほど詳しいわけではないですが、
その昔醤油や味噌は米麹や麦麹を使わず
直接大豆に麹をつけて作っていたと聞きます。
以前、岩手の「タイマグラばあちゃん」という映画を見たら、
タイマグラ地域の風習で、天井に大豆玉をぶら下げ、
家に住む麹自然菌をつけて味噌に仕立てるという
場面がありました。
焼酎でも、米こうじを使って作るようになったのは最近で、
昔は麹を直接サツマイモにつけて作っていたというのです。
ただ、どうしていまはやらないかというと、その製法では不安定で
できたりできなかったりで、失敗があるからというのですが
味は、もちろん直接のほうが濃いものができます。
自分で味噌を作った方はわかると思いますが、
夏を迎えると、味噌のおもしの上のほうに水、が上がってきますよね。
あの水、泥っとしていますが、おそるおそるなめると
これがうまいんですよね。
醤油代わりに、炒めものなんか使うと、だしなんかいらない
滋味深い絶妙なうまさです。
夏が過ぎるとまた水が、大豆のなかに戻っていきますから
あまり使いすぎると、味噌の緩さや味わいが減ってしまいますから
ほどほどに、ですけれど。
それで、この醤油。
溜り水の濃い、甘い、旨い味がします。
塩気が強くなく、雑味がない、
昔はこういう醤油だったのかと思いめぐらせたくなるような。
大豆と、塩しか使っていない、1年寝かした醤油です。
ただ野菜を煮た鍋をこの醤油とレモン汁でもう十分。
たまたまですが、いま取扱いの醤油、これで三種そろいました。
再仕込み特別栽培生醤油 千葉 加熱せずに使用向き
木桶天然醸造無農薬醤油 熊本 万能の甘味、旨み
木桶溜り醤油 群馬 煮込み料理や奴、刺身醤油として
仕入れの都合でいつもあるわけではなく、
時々切れますので、いるときはお早めに