【蔵の裏】
ちょっと長いです、ゆっくりご覧ください。
いま取り扱っている、無農薬お味噌を作っていただいている
石孫本店さんを訪問しました。秋田県の湯沢市。
写真でわかりますが、小さな集落のなかの路地にあります。
狭い道がさらに雪で狭くなっている裏側から
行ってしまったのですが、
それにしても立派な蔵で、想像以上でした。
文化庁登録有形文化財とかで
建物全部が指定されているそうです。
【炭で麦を炒る】
このレンガの炉で炭を燃やして麦を炒るのだそうですが
そこからやっているとこはいまはほとんどないと聞いて
レンガ積み職人を探し、一か月かけて、レンガと
パケットを新しくしたと、これであと数十年持つと
うれしそうに。
あの震災で蔵の一つが全壊してしまったものの、100年使用している
杉の樽桶はかろうじてすくいだすことができ、今ある蔵に移せたとのこと。
【大豆を茹でる鍋】
麹からして菌が醤油用と、味噌用で違うので、
麹作りの部屋か、方法も違うのだそうです。
【醤油用の糀室】
麹作りは四日間かかりますが、二時間おきによるなども
社長さんと娘さんがおきて炭火や窓を開けたりと温度管理や
麹をほぐしたりと、面倒ををみるのだそうです。
【醤油桶のわきで説明してくださる女性の方が社長さん】
最初のおけは全部醤油用、ぼくのとこでは
扱っていないのですが、詳しく見せていただきまして
ありがとうございます。
【100年分の菌がいっぱい、これから水だけで手洗いをするそう】
感じたことは、とにかく労力がすごい。
そして、古い自然素材を大切に使っています。
仕込みや洗ったりする水から井戸水。
そして、大豆を粉砕せずまるごと使用しています。
【一年の醤油桶、下からもろみ醤油を汲んでは上から掛けることを繰り返す】
古いという事は、代々、受け継がれている菌があるもので
それらが仕事をしているということが代えがたいものだということ。
【しょうゆを絞る木の船】
絞るのも、ひとつずつもろみを布に入れて、木の船が壊れるので
強い力をかけず絞るそう、よそでは油がでるまで絞るらしいのですが
こちらではそこまで絞らないので油は出ない、もったいないのだけれど
あとの搾りかすは捨てるという話。
その搾りかすを食べさせていただきましたが、
なんと、しょうゆ風味のチーズのよう。
たまに東京の料亭に送っているとか。
なにか利用方法があればいいのですが、なにせそういうことまで手が
回らないとのことで、それはそうですよね、
それだけ製造に手間をかけていれば。
【味噌用のこうじ室】
味噌用はよく写真である、酒の糀と同じ工程で一面に伸ばして広げるのだそう
味噌と麹菌は違う、部屋も違う、製造方法も違う…。
そこまでやっているとは。
【味噌樽】
樽には、三トンが入っているのだそう。
それを、いったん出来上がり前に、
中央の樽(もしくは別の樽)に、手で移して、そして出来上がった底の部分が
上に来るからそこから出荷するとのこと。
天地返しですね。
【中央がぼくの取り扱っている麹味噌が入っている樽】
雪を避けるように全体が大きな屋根で覆われていて
その中に、小さな土蔵がいくつもあり、
醤油に3蔵、味噌に2蔵使っています。
温度は夏でも26度以下。
【萩のすのこ】
出来上がった、味噌の麹は、萩のすのこのうえに並べて
一端熱を冷ますそう。必ず萩でなくては駄目なのに
作る人がいなくなり、あともう少しつくっておきたいとの話。
なせ萩でなくははわからないのだけれど
ずっとそうやってきたので、代えられないと。
ほかの容器も、装置もみんなそう、
手間はかかるが、いったん手放して現代的なものにしたら
もとには戻せなくなるから
と、その頑なな姿勢に社長さんは何の気負いも感じさせず
ただ、たんたんと。
蔵つきの酵母がすごく強いと
90パーセントはこれだと、顕微鏡で見せてもらったと楽しそうに。
【蔵つきの酵母】
いい酵母を醗酵させてできたものはとてもいい香りでした。
けれど、うちの酵母をとりだし醗酵させたものは、
とても柔らかな風味で、このうちの蔵の匂いがしましたと。
【お土産に頂いた「百寿」】
舐めてみたら、たまりしょうゆのような
まろやかな…、醤油蔵を見たせいかもしれませんが
ふっと桶出しの醤油を舐めたようなまろやかな味わいでした。
無殺菌なのか、聞き忘れましたが
ラベルには、冷蔵保存でと書いてありました。
決して高い値段ではなかったので、扱おうかな…。
いままで何か所か味噌やさん醤油屋さん見学に行ったことはありますが
ここまで、手作りというのはあまりないし、
なにより蔵の香りがとてもまろやかだったり
ほかに代えがたい存在感があります。
材料も厳選しているとはいえやはり無農薬はないので別枠になりますが
ただ、こういう加工食品は、材料が無農薬だからいいとか、
無農薬ではないからだめと、一概に言えないものと思っています。
なによりも酵母や、菌を、宝物のように話す社長さんの姿勢は
今後もお付き合いを通して大事にしたい世界観。